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北大第2農場

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 北大の観光地として一番有名なのはポプラ並木です。そして、その背後には広大な「第1農場」があって、北大がその前身である札幌農学校であることを実感できる場所です。私も旧友達とともに足を運び、倒木がかなり進んだポプラ並木の姿にわが身を照らして記念撮影をした次第です。なお、掲載写真は大学4年当時(1975)の私の雄姿です。裾の広いジーンズが時代を物語っています。

 

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 一方、『北海道大学歴史資産ガイドマップ』(部分)を見ると、低温科学研究所の北側にも広大な「第2農場」があることが分かります。私の思い出の場所はこちらの第2農場の方です。

 

 大学卒業式当日の卒業コンパに、因縁の女子学生が参加していました。入学時、最初に声を掛けてくれたにもかかわらず、その日に喧嘩をし、数年後やっと和解したものの、とくに恋愛関係に発展するというわけでもなく、はや4年が終わるという日です。どういう話の流れか、彼女をタクシーでアパートまで送ることになりました。第2農場を突き抜ける未舗装の道の途中で車を止めて、4年間の学生生活をともに楽しく送ることができたことを感謝し、私は徒歩で東、彼女は車で西へと向かい別れました。

 

 ところがしばらくして、車がバックしてきます。ただし、暗闇なので車はバック運転に難儀し、途中で停車しました。後部ドアが開き、彼女が私の名前を大声で呼んでいるようです。何度も何度も大きな声が聞こえます。どうしたのかと思うものの、暗くて走れないので、足を速めて戻ります。「どうしたの」と聞くと、「早く来てよ!」と叱責口調です。「生まれて今日までこんなに大きな声で男の子の名前を呼んだことがないし、今後も生涯絶対にない」と立腹?、興奮?、動顚?しています。そして、「他の男の子だったらいやだけど、あなただから仕方がないなと思って…」と呟きました。

 

 彼女は私が車に忘れ物をしたと勘違いし、人生一回限りの大声を出して私を呼び戻したのです。でも、その勘違いが私には北大最後の良き思い出となりました。第2農場は彼女の理知と理性を吹っ飛ばす程広く、2人の別れを静寂の中に飲み込んでしまいました。なお、タクシーの運転手さんが、「ちょっと散歩してくる」と言って、変な気を使ったのが場壊しでしたが…。

 

 あれ以来彼女には一度も会っていません。48年前、卒業式当日の夜のことです。

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