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蛍日記 2-8 アマガエル参上!

 夜の虫の音には若干秋を感じるものの、日中は「命に危険がある暑さ」(35度超え)が際限なく続きます。子供の頃、(現在の)愛知県豊田市に住んでいた時の、あるいはそれ以上の暑さをこの信州で味わうことになるとは、温暖化も極まれりです。

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 カワニナの屋外水槽を水温18度の井戸水と入れ替える頻度を上げて、カワニナを高温から守っているのですが、気が付くとアマガエル達も水の入れ替えを待っているようなのです。初めは水槽に近づく蚊などを捕食するために集まり、水槽近くに控えていました。ところが、水を入れ替え終わるや否や、多い時には8匹近くのアマガエルが水に浸かって体を冷やしているのです。カエルの暑さ対策ということです。カエルを飼っているのではないので、追い払うのですが、しばらくしまた水を入れ替えると、水槽に体を入れて瞑想でもしているように静かに浮かんでいます。

 山間を里まで流れてくる川の清流やそこから水を取る堰でカワニナを飼う方が良いのは当然なのですが、カワニナの個体が減少している現状では、まずは水槽でカワニナの数を増やし、そのカワニナを川・堰に撒き、自然の環境を整備しつつ、カワニナの自活を予定して始めた活動です。しかし、夏季のこれだけの酷暑を考えるとすぐにでも川や堰の環境改善に着手し、カワニナの自然環境下での飼育を前倒しして行った方が良いように感じられます。なぜなら、過酷な酷暑にもかかわらず、一定の水温で流れる川・堰の方が、夏季には環境的に優れていると思われるからです。水槽での飼育を残すのは、川・堰に捲く親貝の数を最低限度確保するためです。暑さでボケた頭ですが、蛍の生息する滝沢川や蛍の堰全体をカワニナの飼育場所として保全する方向に活動を発展させようと考えた次第です。

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 というわけで、(古町)新井橋に行って、滝沢川の近況を調べることにしました。上の写真が1年前の8月の橋上流部の様子です。これに対して、下の写真が同場所の今年の8月の様子です。明らかに今年は渇水状態です。昨年は前月まで洪水という言葉が思い浮かぶ程の雨量で、これではカワニナや蛍の幼虫が流されてしまうだろうなと危惧していたのですが、見ての通り、今年は、川に植物の緑がないのは問題ですが、こんなに少ない水流でカワニナや蛍の幼虫の生活領域があるものなのか、なにより、そもそも餌があるのかどうか心配されます。

 渇水の翌年の蛍はいったいどの程度飛翔するのでしょうか。やはり、屋外水槽でのカワニナの飼育は長期継続せざるを得ないのでしょうか等々、いろいろな疑問が頭に浮かびます。

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蛍日記 2-7 カワニナ放流

 4月2日
 袖之山地区に遠征して捕獲したカワニナの親貝8個(3年目)、室内水槽で飼育することにしました。また、別の屋内水槽で飼育していた、冬を越した2年目の子貝は60個程が生き残り、かなり小型ですが、ほとんが縦長な巻き貝に成長しました。

 5月22日
 3年目のカワニナを屋外の大型水槽に移動した際、40個程の子貝を発見しました。子貝のサイズは目に付く程の比較的大きなサイズですが、生まれる子貝の数は少ないようです。

 6月26日
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 蛍の飛翔する頃、3年目の親貝のいる屋外の大型水槽に、さらに子貝を80個程確認しました。 2年目の子貝のいる室内水槽にも新たに子貝が生まれ始め、カワニナは2年目から子貝を産むことが確認できました。ただし、あまりに小さく正確な数が分かりません。3年目の大きなカワニナは驚く程食欲旺盛で、生まれる子貝も大きいのですが、その数は少なく、これに対して、2年目のカワニナは、微少な子貝をたくさん産む傾向にあります。数を考えれば、2年目の若いカワニナを飼育や放流の中心にするのが良いと思われます。

 7月10日
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 蛍の乱舞が終わり、蛍の産卵があったので、今年の春から産まれた子貝(最大5mm)を計200個、草刈り後の蛍の堰に放流しました。もちろん、この程度の数で済む訳はないのは承知しています。「チリも積もれば…」ということです。


 7月31日
 さらに、2年目のカワニナが産んだ子貝を中心に300個を蛍の堰にを放流しました。2年目のカワニナの室内水槽は、たぶん水の入れ替えが不十分で、一度に(新)親貝10個程が空貝となっていたこともあって、3年目のカワニナと同じ屋外水槽に全部移動しました。3年目のカワニナが8個、2年目のカワニナが30個です。成長の遅い20個程は放流しました。

 正直、今年の夏の暑さは異常なので、水の入れ替えが大変になることが予想されます。とは言っても、ここは信州です。すぐに涼しくなると、この時は考えていたのですが…。

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蛍日記 2-6 蛍マップ3

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 古町地区を流れる滝沢川を大きく捉えてみました。左上(北西)から右下(南東)に流れ、そこから蛇行して右上(北東)に向かっています。茶色で示す橋が3つあって、上流より、石原橋、(古町)大橋、(古町)新井橋と呼称します。最初に石原橋上流において浚渫が行われ、その後石原橋下流、大橋から新井橋間において、複数年次に亘って浚渫工事が行われ、川床の砂・泥・石・岩や蘆などの植物の全てが綺麗に浚われ、ある意味川の水は滞りなく流れています。堰堤を超えた洪水を避けるためで、仕方のないことです。その結果、川浚いの行われた部分では全く蛍を見ることはなくなっていました。

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 古町地区最下流にある新井橋のさらに下流部分が、まだ浚渫の行われていない、そして今年蛍の乱舞を確認した場所に当たります。その生息地から堰を伝わって、古町・蛍の堰と中宿・蛍の堰に進出した蛍が、両方の場所でそれぞれ生息を維持しているのではないかと推測しています。しかし、滝沢川に蛍の生息地が残っているならば、そこから滝沢川自体に生息地を広げていてもおかしくないと考え、川を遡ってカワニナがいそうな場所を探索した結果、古町神社の裏手の森林部分に蛍の生息地を発見しました。自然の湧き水もあって、清流の場所です。最初に浚渫工事が行われ何年も経っているので、川の環境が元に復しているのかもしれません。

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 以上の事情を勘案すると、将来、大橋・新井橋間に蘆が生え始めると、再び蛍が戻ってくる可能性があります。その観点からも、蛍の生息地は複数維持しておく必要があります。やむを得ず、川や堰の整備を進めたとしても、近くに別の蛍の生息地があるならば、そこを基点に蛍は再び元の場所に帰ってくると考えられるからです。マップを見ると、古町地区は周りを蛍に囲まれた地域であることがよく分かります。ところが、地元の人は古町には蛍がいなくなってしまったと思い込んでいます。

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蛍日記 2-5 蛍マップ2

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 当該古町地区の南部は中宿地区に接しています。古町地区と同様に、西(左)側が高く、東(右)側が低くなっており、蛍の生息する堰は赤い矢印のような水流になっており、最終的には右上部分で蛇行する滝沢川に流れ込んでいます。この滝沢川が古町地区と中宿地区の境界の1つになっています。

 前回掲載したマップから推測すると、赤い矢印とは逆に、滝沢川の生息地から川沿いに遡って進出した蛍が、さらに堰にまで生息地を広げたと見るのが自然と思われます。マップを見るととても分かり安いのですが、やはりクランク(枡)部分に黄色印の蛍が集まっています。流れが滞る場所が適地ということになります。ただし、この場所は街灯が道路を明るく照らしているので、道路の土手下の影部分に蛍がおり、割と人車の通りも少なくないのに、ここに蛍が飛んでいることにほとんど気付かれていないようです。地元では、「ライスセンター(牟礼倉庫)辺りに蛍がいるらしい」との噂はありますが、これほどたくさんいることが周知されていないのは、この街灯のせいなのです。

 もう1つ興味ある事実を指摘しておきます。中宿地区の蛍の堰の南側には小さな田圃はあるものの、その先は何十年も耕作放棄地となっており、茅などの生い茂る雑種地となっているということです。西側は林檎畑であり、いずれにしろ、周囲を田に囲まれる中を流れる堰ではありません。古町地区の蛍の堰も未耕作地を流れていた事実と考え合わせると、残念ながら、水田耕作自体が蛍にはマイナス要因であることが示唆されます。なお、中宿地区内のさらに南(マップの下側)に黄色印で蛍の生息地が示されていますが、下流において滝沢川と1つになる八蛇川(やじゃがわ)本流との関連で考察する必要がありそうなので、ここでは触れないことにします。

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