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〈56〉東海道大尾 京 内裏

Kyokairit55
「おもひ立 さい先よしと いそ五十路 こえてみやこを けふみつの空 紅翠亭郡子」

 「内裏」とはありますが、御所門前を描く狂歌入り版です。やはり、中判揃物である、国貞『東海道五十三次之内』(美人東海道)にも56枚目に「京都ノ圖」があって、平板な狂歌入り版の様子がよく分かる作品となっています(下記図版参照)。石積みの上に屋根付きの土塀があり、一段奥まった門前に板塀があり、参内する人はこの板塀の両脇から入って行くのでしょう。門前の道路には、公家を駕籠で運ぶ行列が見え、その奥には被き姿の2人の女とお供を従える女将風な女が描かれています。束帯姿で笏を持つ2人の公家は、あるいは武士が御所に参内する正装なのかもしれません。武士と小姓が日傘を差し掛けています。江戸ではあまり見られない風俗として紹介されています。重要な点は、都には公家やその頂点をなす天皇が居り、武士階級の上に存在していることが暗示されていることです。同じことは、お伊勢参りによって、伊勢神宮に皇祖天照大神が坐すことを江戸庶民が自覚する点にも当てはまります。江戸時代末期、将軍家から天皇家への大政奉還が庶民に自然に受け入れられる下地も、ここにあります。

 狂歌は、「おもひ立 さい先よしと」、つまり、思い立ったが吉日と、いそいそと「五十路」(50の宿路)を越えて、ついに都に今日で(50と)3つ目の空を見るという内容です。「いそ五十路」でいそいそと五十路(いそじ)、「けふ」で今日と京、「みつ」で見つと3つをそれぞれ掛け、また、みやことけふ(京)の縁語を用い、十二分に言葉遊びを堪能するものとなっています。くわえて、50+3で、東海道五十三次を詠い込んでおり、狂歌の最後を飾るに相応しい秀歌で締めくくっています。都を象徴するような「紅」(赤)と「翠」(緑)を組合わせた狂歌師の名前も、粋な命名です。

Bijinnt55

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