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38 信濃国 「福島」

「三拾八 木曽海道六拾九次之内 福し満」  (一立斎)廣重画 錦樹堂・左枠外に竹


Kisokaido38 『木曽路名所図会』(巻之3)によれば、福島は、「木曽谷中第一の豊饒(ぶねう)の地なり。当駅京都江戸等分の地なり。京より福嶋まで六十七里福嶋より江戸迄六十八里半也」とあり、また、「福島關隘(ふくしまのくわんゑき)」として、「駅の右の方に御番所あり。此所女と鳥銃(てつほう)とを御改め遠州荒井の如し」と記され、同時に「福嶋關隘」と「駒嶽遠景 中三権頭兼遠宅趾」の図版が掲載されています。『岐蘓路安見絵図』(福嶋)にも同内容の注意書きが付され、くわえて「御奉行山村甚兵衛」とありますが、その代官屋敷は現存しています。

 当作品は、軍事上の重要性と狭隘な地勢から当地にて築かれた、福島の関所を描いていることは明らかです。冠木門を出入りする旅人の奥、左手の番所で旅人が改めを受ける様子が描かれています。京都より江戸に進む前掲名所図会の記述を前提にするならば、番所が左に描かれているので東門の方向から描いていると推測されます。『旅景色』(p51)が「西門から中を覗いた絵」と判断しているのは疑問です(同趣旨、岸本『中山道浪漫の旅 西編』p25)。一点透視の遠近画法を応用した作品ですが、左右の土手の高低差が極端に表現されているのは、広重お得意の技法です。なお、番所の幔幕に版元錦樹堂の意匠が描かれています(保永堂版東海道「関 本陣早立」参照。こちらの作品では、広重実家の田中紋が入れられています)。


*注1:『木曽路名所図会』巻之3(福嶋關隘)

Fukusimasekieki

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