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17 相州三浦之海上

Fuji_17 本作品より、相模国に入ります。神奈川の景勝地を発ち、東海道を西進すると、次の代表的名所は江ノ島ということになりましょう(『東海道名所図会』巻の六参照)。たとえば、保永堂版『東海道五十三次』「藤澤」では、遊行寺の景色の前面に、江ノ島に向かう座頭の一行と大山詣りの男達が描かれています。おそらく、これが着想となって、広重は三浦半島の海上側から、江ノ島(富士の直下の緑の島)と大山(富士の右側黒い山)の2大名所を従える富士見の作品を構想したものと思われます。本作品の近景に描かれる松が生えた岩場は城ヶ島で、その後ろの断崖が三浦半島先端部です。


 富士が夕焼けの中に描かれていることから、漁船などの帰帆風景と想像されます。「瀟湘八景」の「遠浦帰帆(えんぽきはん)」の趣があります。「16 武蔵本牧のはな」と同様、富士の手前には船の帆柱の綱が三角形を作り、富士との相似形を演出していますが、北斎とは異なって、構図性よりは日常性を重視していることが判ります。とはいえ、実際には江ノ島は作品中もう少し右手に位置するはずです。つまりは、これによって、広重の日常景は実景とは違うということが明らかになります。

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