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18 さがみ川

Fuji_18 東海道の藤沢宿から西に進んで、次の平塚宿に入る手前(東側)に馬入川(相模川)があります。『東海道名所図会』(巻の五)によれば、一説として、相模川での橋供養に際して、水上に悪霊が出て、黒雲が舞い上がり、落雷があって、源頼朝騎乗の馬が驚いて頼朝を落馬させ、馬も水中に飛び込んで死ぬという事故があり、故に、馬入川と呼ぶようになったそうです。


 保永堂版『東海道五十三次』「平塚」では、高麗(寺)山と大山の間から覗く富士の姿が描かれています。大山越しの富士の名所であることが判ります。したがって、本作品でも、船渡しのあった相模川河口近く(戸田の渡し)から大山と富士を眺望する構図を採っています。本作品と同様の構図は、すでに『不二三十六景』「相模川」に見ることができます。両作品の違いは、本作品では、葦の前に鷺、後ろに筏を漕ぐ男をそれぞれ配して、遠近を強調している点です。筏の上で焚く火を覆う三角の屋根と男が被る笠は、遠景の富士と大山に相似する三角形で、北斎的構図を意識した工夫と思われます。ただし、『不二三十六景』の作品でも、富士と大山の前に三角を思わせる船の帆に張られた綱が見えています。そして、いずれの作品も、北斎ほど強くは構図性に囚われていない表現が感じられます。たとえば、本作品の場合、三角の囲いは葦に隠されており、『不二三十六景』の方では三角の綱の一辺がやはり隠されているといった具合です。


 ちなみに、ゴッホ「タンギー爺さん」の肖像の頭部背後に描かれている1枚が、本作品と考えられています。

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