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「箱根」 歌川広重 伊場屋仙三郎(異版)

(塔の澤 湯治場の圖)

11_new「梅屋 
箱根路を ゆさんなからの 湯治とは かねを持たが 病なるべし」

 広重の異版は、何らかの営業政策上の宣伝であることが多いのは、すでに見てきた通りです。本作品も、「塔の澤 湯治場の圖」とあるように、箱根温泉の宣伝と考えて良いでしょう。『東海道名所図会 巻之五』「相州 箱根」の「箱根温泉」を見ると、「七箇所にあり 七湯巡(ななゆめぐり)といふ」とあり、さらに「塔之澤湯 七湯の中にて 地境広くして風景の勝地なり。山を勝麗山(しやうれいざん)と号し 川を早渓(はやかわ)といふ」と記しています。広重作品に照らせば、女性が屋内から眺めているのが「勝麗山」で、流れる川が「早渓」ということになります。そこに湯上がりの美人を添えた、一種美人画仕立ての作品です。これは、同図会の図版を参考に描かれたと推測されます。ちなみに、そこには、「鬼のない地獄からわく箱根の湯やまいなおれば極楽となる」という狂歌が載せられていて、梅屋の歌も、これを意識しているように思われます。箱根温泉は、いずれも、箱根の関所を越える必要がなく、そのため、江戸からの遊山の旅として人気があったことも十分に頷けます。

 なお、広重には、『箱根七湯図会』という揃物の作品があります。

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