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「舞坂」 歌川国芳 遠州屋又兵衛

31_new 「舞坂の驛

沖遠く 白帆の蝶の まい坂に うち寄るなみの 花をこそ見れ 梅屋」


 羅針盤を前に唐風の服を着て船荷に腰掛けている男は、船乗りであることがわかります。おそらく、毛剃九右衛門(けぞりくえもん)の汐見姿と思われます。九右衛門は、近松門左衛門の浄瑠璃『博多小女郎浪枕』に登場する抜荷買い(密貿易)の頭目です。この作品は、享保3(1718)年10月、密輸の一味が3日間大坂高麗橋に鼻をそがれてさらし者にされた事件を取り入れたものですが、後に歌舞伎化されて(「恋湊博多諷」、通称「毛剃」、『カブキ101物語』86頁参照)、七代目、九代目市川団十郎が大道具の船の舳先で汐見の見得を切る型を完成させ、むしろ海賊や海の英雄のイメージとして受け入れられました。

 「舞坂」と「あら井」の間が海路になることから、また、汐見の風光が有名なことから、汐見の見得を切る海賊・毛剃九右衛門が題材に選ばれたと推測されます。

*保永堂版東海道「舞坂」は副題「今切真景」で、広重は『東海道名所図会 巻之三』の「今切」の解説および図版を参考に描いたと思われますが、山の形はかなり脚色されているようです。同図会の「今切」の解説は、来るべき東海(南海)地震を考えるうえでかなり重要な資料となるはずです。

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