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「草津」 歌川国芳 海老屋林之助

(田原藤太 龍女)

53_new「延喜八年 秀郷勢田の橋を過ぐるに 龍婦女と化して 三上山の百足を亡(ほろハ)し給ハれと願ふ。よって 秀郷かの蚣を射る。すなハち 其恩として龍宮へ伴ひ あまたの宝をおくる」


 上部の枠には、三上山に棲む大百足が、下部には藤原秀郷(俵藤太)と対面する琵琶湖の龍女が描かれ、有名な「むかで退治」の話が題材となっています。国芳好みの画題ですが、『東海道名所図会 巻之二』に、「勢田橋」と「秀郷竜宮城に至る」と題する二つの図版が掲載され、また、「秀郷祠」「竜宮祠」の項に、文章解説があることから、同図会の影響が推測されます。同図会によると、「第三の矢に唾を塗りてこれを射てついに滅ぼす」とあり、さらに、「竜神大いに喜び、秀郷を湖中竜宮に誘引し、厚く恩を謝し十種の宝器を贈る」ともあります。なお、先の「秀郷竜宮城に至る」の図版には、「湖水(みずうみ)の竜宮城はかはりけり 鯉鮒うなぎ なまず 鼈(すっぽん)」と戯れ歌が挿入されています。

 「むかで退治」の話は、平将門を討伐した秀郷を英雄化する伝説の一つであると同時に、むかで(金)、竜神(水)、矢を射る(火)など陰陽(五行)思想の説話的表現と思われます。

*保永堂版東海道「草津」は「名物立場」と題して、『東海道名所図会 巻之二』を参考に「うばがもちや」を描いています。

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