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「興津」 歌川広重 遠州屋又兵衛

18_new 「田子の浦風景

興津の海濱塩竃の邊より 津々浦々に小名あれとも昔ハおしなへて田子の浦と唱ふ。見わたせバ名にしあふ富士の高根愛鷹山 薩埵峠 興津川の流れ 清見か関 清見寺 三保か崎其餘の眺望あげて かぞへかたく実に東海一の勝地といふへし
 山邊赤人
田子の浦に 打出て見れハ 白妙の ふしの高根に 雪ハふりつヽ」

 『東海道名所図会 巻之四』「駿河 興津」には、「田子の浦」の記述は特にありませんが、「由井まで二里十二町。この道は山水の風景真妙にして 東海道第一の勝地なり。」とあります。ちなみに、その前の「江尻」には、「田子浦」と題する漢詩が掲載されています。いずれにしろ、ここでは、同図会に頼ることなく、山部赤人の有名な古歌で十分と考えたと思われます。

 広重は、まさに田子の浦の海岸線から、(三保もしくは清見の)松原、船の帆、愛鷹山そして富士へと続く眺望を絵にしています。干された網の後ろに立つ烏帽子姿の公達が、おそらく、山部赤人で、富士を眺望しています。

*保永堂版東海道「奥津(興津)」は「興津川」で、同図会の「興津川」の図版を参考にしていると思われます。相撲取りは、同図会の「安部川」のアイディアを応用したものです。背後の松原は、三保ではなく、清見の松原と言われていますから、もしそうならば、『東海道五十三對』「興津」の松原も清見潟のものであるかもしれません…。

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