« 「濱松」 歌川国芳 遠州屋又兵衛 | トップページ | 「見附」 歌川広重(戯筆) 遠州屋又兵衛(異版) »

「見附」 歌川国芳 伊場屋久兵衛

29_new 「金札鶴(きんさつのつる)

みかの橋の東爪 西嶋より十町ばかり左の方に 岩井村と云有。里諺(りげん)ニ曰 むかし右大将頼朝卿 鶴の齢を様(ため)さんとて 鶴の脛に金札を付て年号をしるし放ち給ふとかや。今の世にもその鶴 このほとりに舞遊ぶという。」


 詞書きは『東海道名所図会 巻之三』の「遠州 見附」の項にある「金札鶴」をそのまま引用しています。「白須賀」の「女谷之傳」がやはり頼朝伝説の紹介でしたが、ここ「見附」でも頼朝を話題にしています。ただし、「今の世にも」舞う「金札鶴」は、頼朝の時代から約600年経っていますから、千年生きる鶴の縁起話としての性格が強いでしょう。

 「見附」は、『東海道名所図会』によれば、「富士山あらわに見ゆるゆえ見附台という」とあります。また、昔より、富士には天女が舞うという伝説もあります。いずれにせよ、富士と鶴との係わりは深く、延寿譚の重要な構成要素をなすと考えれば、ここに舞い遊ぶ鶴は、富士(神霊)の使いと見るべきなのでしょう。烏帽子を取った束帯姿の頼朝の背後に飛ぶ鶴は、したがって、ここには描かれていない富士に向かっているはずです。

*保永堂版東海道「見附」は副題「天龍川」です。「天竜川」については『東海道名所図会』の「濱松」の項に記述があり、広重作品は、「一の瀬、二の瀬の二流となる。船渡しなり。」という文言に添った描写をしています。

|

« 「濱松」 歌川国芳 遠州屋又兵衛 | トップページ | 「見附」 歌川広重(戯筆) 遠州屋又兵衛(異版) »

東海道五十三次」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/197953/58439474

この記事へのトラックバック一覧です: 「見附」 歌川国芳 伊場屋久兵衛:

« 「濱松」 歌川国芳 遠州屋又兵衛 | トップページ | 「見附」 歌川広重(戯筆) 遠州屋又兵衛(異版) »