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「宮」 歌川三代豊国 遠州屋又兵衛

42_new 「宮の驛 反魂塚

むかし 藤といふ女有。其夫 奥州の方へ遠征に行て久しく帰らす。妻これを嘆きて終に空しくなる。夫 月を累ねて帰り愁傷し 東岸居士といふ名僧に願ひけれバ 反魂の法を行ひ 姻中に姿をあらハしたまふ。その藤女か塚といふ。」


 上記の文章は、『東海道名所図会 巻之二』の「反魂塚」(はんごんづか)からの転載です。浅間物に登場する護摩の煙からは「生霊」が現れますが、反魂香からは「死霊」が現れます。歌舞伎などで著名な場面なので、その人気を当作品に引き込もうというアイデアでしょうか。もしくは、『傾城浅間嶽』では、生霊「奥州」が煙中に浮かぶことを考えると「奥州」から帰ってきた夫との対比が考案されていて、下部の図版は『傾城浅間嶽』の一場面そのものを見せているのかもしれません。『東海道五十三對』では、詞書きと図版の内容とは必ずしも完全に一致せず、そのズレに深い意図が隠されている可能性があるという点にも注意が必要です(前掲「庄野」参照)。

 若衆が手に持つ香包に反魂香が入っていて、それを焚いた香炉の煙の中に、蜘蛛の巣と蝶の着物模様の女が浮かんでいます。「四日市」「桑名」「宮」と異界話が続いています。

*保永堂版東海道「宮」は「熱田神事」を扱っていました。ところで、『東海道名所図会』では、「宮」は同図会の「巻之三」にあります。同図会には、「熱田御田神社 烏喰の神事」が紹介されているので、広重の副題「熱田神事」発案のヒントは意外にここにあるのかもしれません。

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反魂塚は尾張名所図会にもあります。

投稿: | 2014年12月 4日 (木) 10時06分

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