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六十 今須 曾我兄弟

版元:辻岡屋文助 年代:嘉永5(1852)年6月 彫師:上村安


Kn60  作品を眺めると、曾我五郎時致が蚊帳の中で寝ている人物(工藤祐経)を伺い、背後の曾我十郎祐成に何か合図を送っているようです。敵が「居ます」ということで、「今須」に掛けられているのです。この後、兄弟は祐経を眠りから起こして仇を討つことになります。もちろん、『曾我物語』を下敷きにした作品です。事件の発端は、作品二十五「八幡」を参照。この作品は、単なる地口からのみ成立したのではなくて、「今須」が「寝物語の里」という伝説を持っていることから、寝ている祐経を討つ場面が描かれています。ちなみに、「寝物語の里」と言われるのは、今須が近江と美濃境界にある宿場で、建物の距離僅か一尺五寸の近離距故に、寝ながらにして両国の者が物語りできることが所以となっています。標題は、五郎の着物の紋様の蝶々と十郎の着物の紋様の千鳥で囲まれています。いずれも、お目出度い意匠です。

Kom60  工藤家の紋・庵木瓜に重ねられたコマ絵は、一つは蝶々であることが判ります。さらにその右下に千鳥が重ねられ、曾我兄弟を表す工夫があるのだと思われます。英泉・広重版木曽街道の「今須」は、「江濃両国境」の榜示杭を近江側から眺める構図です。コマ絵は、『木曽路名所図会』巻之二の俯瞰図「寝物語の里」を参考に、宿場を見下ろす地点から描いているようです。

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