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四十七 大井 斧定九郎

版元:加賀屋安兵衛 年代:嘉永5(1852)年5月


Kn47  「斧定九郎」は、『仮名手本忠臣蔵』五段目(『カブキ101物語』160頁参照)に登場します。大星由良助の上席家老である斧九太夫の息子で、高師直に寝返った九太夫さえ勘当するような不忠義者です。生活に困って山崎街道で強盗を働き、与市兵衛が娘おかるを一文字屋に売った金50両を狙って雨の夜道で襲い、殺害し、金を強奪します。しかし、早野勘平が猪と見誤って放った鉄砲に当たり、あえない最後を遂げてしまいます。原作では、「オーイ、オーイ、親仁どの」と与市兵衛を追って出る段取りとなっていて、その「オーイ、オーイ」が「大井」に掛けられている次第です。

 この江戸庶民のだれもが思い受かべる「雨の山崎街道」の名場面を国芳も画題としています。標題の周りは、同五段目を想定して、定九郎の蛇の目傘、与市兵衛の財布、提灯、笠、勘平の鉄砲で囲まれています。雨の山崎街道は、雨が事件・事故を暗示する浮世絵手法の典型です。ここから、多くの見立てや絵兄弟が生まれてもいます。なお、作品四十六の「中津川」と作品四十七の「大井」は、見開きで、ともに忠臣蔵物を題材とするような工夫があります。

Kom47  コマ絵の形は、定九郎が強奪しようとした50両に因んで、小判を意匠するものです。英泉・広重版木曽街道の「大井」は雪景色ですが、季節を変えて、その木曽御嶽山を見返す視点で実景に近づけて描いたのが、国芳作品のコマ絵かと思われます。

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