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廾 沓掛 黄石公 張良

版元:伊勢屋兼吉 年代:嘉永5(1852)年6月


Kn20  黄石公(こうせきこう、生没年未詳)は、秦代中国の隠士。張良に兵書を与えたという伝説で名高い人物です。すなわち、張良が始皇帝を暗殺しようとして失敗し身を隠していたある時、一人の老人(黄石公)と出会い、その老人は沓を橋の下に落として、袂を歩いていた張良に「拾え」と命じました。三度試されましたが、張良が怒らずそれに従ったことから、その謙虚さに応じて、老人は張良に「太公望兵書(六韜)」を与えたというものです。張良は、後の漢の皇帝劉邦の謀臣となって、軍師の名を高めることになります。なお、黄石公は太公望とともに兵法の祖として仰がれ、その名を冠した兵法書の種類は多く、その中でも『三略』が有名です。

 国芳作品は、謡曲「張良」に従っていると言われています(中山道広重美術館資料)。画中背後の土橋が、黄石公と張良の出会った橋です。また、老人が抱える赤い布に包まれているのが兵書でしょうか。なお、「沓を履く」あるいは「沓を履け」から「沓掛」と洒落ているように思われます。標題は、土橋の下の岩場とそこを流れる川の波濤のようです。

Kom20  コマ絵は兵書の巻物(まきもの)の形を意匠したものです。コマ絵の中の風景は、浅間山です。英泉・広重版木曽街道の「沓掛」ではなく、次の宿場「追分」の「浅間山眺望」に対応しています。軽井沢より信州に入っていることを考えると、名高き浅間山の登場を前倒ししたということでしょう。

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