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八 鴻巣 武蔵守師直

版元:八幡屋作次郎 年代:嘉永5(1852)年5月 彫師:多吉


Kn08  「武蔵守師直」と言えば、人形浄瑠璃、歌舞伎でお馴染みの『仮名手本忠臣蔵』の仇役「高師直」(吉良上野介)のことです(『カブキ101物語』160頁以下参照)。描かれている場面は十一段目の討入りで、師直の屋敷に討ち入った大星由良之助(大石内蔵助)等四十六の浪士から逃れようと、師直が近習に引かれて炭小屋に隠れるところです。物語のクライマックス直前を描いて、結末を想像させ、庶民心理を作品に引き込もうとの手法です。降り積もった雪と炭の対比が鮮やかです。

 「高」師直の「巣」(屋敷)や「すみか」、あるいは「炭」小屋と「鴻巣」とが地口になっています。標題の周りは、コウノトリの巣を狙う蛇ということで、やはり「鴻巣」に掛けられています。いずれにしろ、宿場名「鴻巣」とは無関係な状況設定で、「地口木曽街道」と揶揄されても仕方がないのではないでしょうか?

Kom08  コマ絵の形は桐の文様で、これは高家の家紋です。問題なのは描かれた風景で、英泉・広重版木曽街道の「鴻巣」は「吹上冨士遠望」と題して、鴻巣の宿場をすでに越えた吹上村辺りの風景を描いています。おそらく、国芳版・コマ絵の鴻巣は、民家が並んでいる風情から判断して、英泉・広重版木曽街道を修正して、予定通り、鴻巣の宿場あるいはそこに近い風景を描くことを意図しているように思われます。特段の事情がない限り、国芳のコマ絵は、英泉・広重版木曽街道に倣っているようですが、本作品は違います。

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