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七 桶川 玉屋新兵衛 小女郎

版元:住吉屋政五郎 年代:嘉永5(1852)年6月 彫師:須川千之助


Kn07  「玉屋新兵衛 小女郎」は、享保17(1732)年刊、八文字屋自笑・江島其磧(えじまきせき)合作の浮世草子『傾城歌三味線』全五巻に収められる、恋物語の主人公達です。元々は、元禄時代(1688‐1704年)頃からの古い俗謡に歌われた越前三国の湊の遊女小女郎と玉屋新兵衛の情話に取材されています。後に、初代並木五瓶作の歌舞伎『富岡恋山開』(とみがおかこいのやまびらき)として、寛政10(1798)年正月、江戸桐座で初演されています。 

 画題となっているのは、京の三国出村の太夫小女郎と出会った玉屋新兵衛が「桶伏」にされている様です。「桶伏」とは、遊興費が払えなくなった客に窓を開けた桶を被せ、金策が整うまで路傍に晒す私刑の一種です。どうやら、小女郎は見回りの二人組を気にしながら、こっそりと新兵衛に食べ物・水などを差し入れしているようです。深い仲になったからこその仕草ですね。手前の子犬も、子を成す二人の将来を暗示しているかのようです。「桶」の内「側」にいるあるいは「桶」から「顔」を出す新兵衛ということで、「桶川」に当てはめたということです。標題を囲む酒器・食器は、遊興三昧の新兵衛を象徴するものです。

Kom07  またコマ絵は文と思ぼしきものの上に描かれていますが、新兵衛と小女郎の恋文仕立てと考えればよいでしょう。ところで、コマ絵の中の風景はどこでしょうか。英泉・広重版木曽街道の「桶川」は、「曠原之景」と題して、加納天神へ行く道との分岐点辺りの大宮台地の情景を描いています。英泉・広重版と国芳作品の対応を考慮すると、国芳も同じくその辺りを描いているものと推測されましょう。農家と旅人とのやりとりは削除されていますが、馬子のモチーフは共通しています。

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