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廾六 望月 怪童丸

版元:林屋庄五郎 年代:嘉永5(1852)年6月 彫師:彫竹


Kn26  前掲「十七 松井田」に登場する「山姥」は山の神(神霊)の象徴でした。他方で、怪童丸、すなわち、金太郎の母という説話の一類型があって、本作品もこの後者の例です。正徳2(1712)年初演、近松門左衛門の『嫗山姥』(こもちやまんば)など、人形浄瑠璃・歌舞伎を通して、足柄山での怪力の童子・金太郎、あるいは、酒呑童子を退治する源頼光の四天王・坂田金時等のイメージが定着してきました。

 本作品は、猿と兔をお供にトリモチで烏天狗を取っている怪童丸を描いて、「トリモチに着く」、もしくは「トリモチで突く」から、「もちつく」→「望月」(もちづき)と洒落ているのでしょう。傍らの猿はざる篭を持ち、兔は怪童丸の着物を羽織っています。また裸の怪童丸の赤い肌が露出しているのは、その神童としての性格、神性を強調するものです。それ故、捕獲する鳥も、普通のそれではなくて、深山に棲む烏天狗なのです。標題の周りは、腹掛け、春駒、でんでん太鼓、風車、兔車など子供の玩具で飾られています。

Kom26  コマ絵の形は、マサカリ担いだ金太郎というわけで、マサカリです。コマ絵内の風景ですが、「塩名田」と「八幡」の山は、流れ山か浅間外輪山の同じ山並みと思われるのですが、「松井田」の山もそうでしょうか。この辺りの風景の中心は、浅間山ですから確率の高い思考です。

 『木曽路名所図会』巻之四の「望月」には、「八幡」に向かう上り坂として「瓜生坂」の紹介があります。英泉・広重版木曽街道の「望月」が同「瓜生坂」を描いた可能性は、背後に見える山が浅間山ではなくて蓼科山であるならば、十分にありえます。なお、同坂には松並木がないということですが、同名所図会の図版「望月駅」を参照したとするならば、松の繁る絵があるので、このような情景も不思議ではありません。「瓜生坂」を前提とすると、国芳作品の山も蓼科山となりましょう。

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