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52.東海道五拾三次之内 石部 目川ノ里 :石部之圖

Kunisada052_n 国貞は、『伊勢参宮名所図会 巻之二』「石部」を見据えて、「水口」の暇な情景に対して、「石部」では講札の下がる旅籠の客あしらいをする女中や女客を運ぶ駕籠人足などを描き、明らかに両宿場を対照させています。前景の美人については、石部に遊女はいないということからすると、後述「伊勢踊り」(伊勢音頭)を意識した、舞姿の女性という趣向でしょうか。作品は、「京立ち石部泊り」という言葉に対応した旅籠の様子で、一見すると、どこの宿場にもありそうな状況です。しかし、深読みのしすぎかもしれませんが、駕籠には女が乗り、入口には男が腰掛けていて、もし、この二人が、石部を舞台にした心中物『桂川連理柵』(かつらがわれんりのしがらみ)を意識したものならば、この旅籠は、お半と長右衛門が結ばれたところとなります。

 『東海道名所図会』には、「目川とは村の名なれど、今は名物の菜飯に田楽豆腐の名に襲ひて、何国にも目川の店多し。豆腐百珍の一種となるも、かれが全盛なるべし。」との記述があり、「いせや」という店の紹介がなされています。広重「目川ノ里」の作品がこれを写したものであることは、一目瞭然です。いよいよ、作品の完結を急いだ状況が読み取れます。「目川ノ里」は、石部というよりは草津に近い立場(たてば)にあります。この題材選択は、国貞との棲み分けの結果と考えるべきです。

 さて、広重の作品では、店の前にたむろする旅人達が、踊りをしている一行を振り返っています。これは、京都を中心に起こった「伊勢踊り」で、伊勢参りの人達かと思われます。ここでまた、関西方面からの伊勢参りの情景が加えられることとなりました。店の背後は、琵琶湖の辺で、さらにその背後の山は、湖水越しの比叡山ということになります。

*掲載作品は、国立国会図書館蔵です。

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