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03.東海道五拾三次之内 川崎 六郷渡舟 :川崎之圖

 広重の作品は、副題「六郷渡舟」とあるように多摩川の渡し船の風景です。ここに来て、初めて庶民の旅姿が登場しました。船の中央には、煙管を片手に談笑する女性とその連れがいます。船は向こう岸の川崎側に到着する直前なのでしょう、彼らは降りる準備をし、また船頭は舳先に立って船を止めようとしています。岸には、荷物を積む馬を連れた馬子の姿などが見え、さらにその奥では、船場会所で渡し賃を支払う旅人が描かれています。遠景、画中右には、日本橋で描かなかった富士山が覗いています。

Kunisada003_n  広重の作品だけを見ていると、平和な川渡しの風景一般ということに帰着しますが、ここに、国貞の作品を重ねて見ると、広重作品と共通する女性が縁台の前に大きく描かれていることに気付きます。手拭いを被り、道中浴衣を着るこの姿は、神社仏閣などを訪れる際のもので、場所を考えれば、川崎大師(厄除け大師)に参詣するものであることが判ります。こうして、国貞の美人を通して、ここ川崎が江戸庶民の御大師詣での地であったことが浮かび上がり、同時に庶民の旅の実体が見えてきました。なお、国貞は広重とは相違して、ここでは富士山を描くことを止めたようです。

 江戸から京に向かう大名行列という大きな枠組みから出発した広重は、川崎で御大師詣りという一般庶民の旅の一つを見せてくれたのですが、以後、どんなものを見せてくれるか大いに期待されるところです。その際、広重の何気なく表現された意図は、国貞の作品からよりよく読み取れるというのが、当ブログの視点です。

*掲載作品は、国立国会図書館蔵です。

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