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34.東海道五拾三次之内 二川 猿ヶ馬場 :二タ川之圖

 副題の「猿ヶ馬場」は、白須賀の西方にある丘陵地(原山)で、特段、馬場とは関係はありません。そこからさらに西に「二川」はありますが、広重は、『東海道名所図会』の記述に従って、猿ヶ馬場の名物柏餅の出店を描くことにしたようです。その先の境川から「三河国」になります。

 作品のモチーフは、武士らしき男も買っている名物柏餅を目指す、三人の瞽女(ごぜ)の姿でしょう。たぶん近辺の宿場を拠点とする瞽女が、道中の合間、店に立ち寄るくらいの名物であったという、諧謔嗜好の作品と思われます。大井川には浄瑠璃『朝顔日記』の瞽女の話があったことを思い起こすと、自然の川を渡ることはできなくとも、この三河の二川(猿ヶ馬場)は渡ることができるという含意があるのかもしれません。作品の背景に空が描かれていないのは、瞽女の心像風景を意識したものでしょう。広重は、『木曽海道六拾九次之内 伏見』では、自然風景的に瞽女の姿を描いています。

Kunisada034_n  さて、次の「吉田」宿の東、「二川」宿の西には、火口(ほくち)、すなわち、火打ち石の火を受ける繊維状の商品で有名な店がありました。北斎『冨嶽三十六景』の「吉田」の作品にも「根元吉田ほくち」の看板が描かれています。したがって、国貞は、名物柏餅ではなくて、名物火口を主題に、煙管をくわえ、火の用心の袋を下げる馬子姿の美人を描き上げました。この美人は、火口を買い求めようとしていると見るべきです。火口にあわせ、背景も赤い夕景となっています。

*掲載作品は、国立国会図書館蔵です。

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