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33.東海道五拾三次之内 白須賀 汐見阪圖 :白須賀之圖

 東海道随一とも言われる景勝地・汐見坂から遠州灘を望む作品です。構図的には、箱根などの「坂と大名行列」と共通する絵組みです。名所図会的な表現を採ることによって、広重は、広大な遠州灘眺望の感動を伝える趣旨なのです。海岸に地引網が干してあり、その先の船もそれを使っての漁であることが想像でき、ここでも生活景を描くことを忘れていません。大名一行が運ぶ二つの挟箱(はさみばこ)には、広重を意味する「ヒロ」が意匠されています。元武家としてのちょっとした遊び心が出ています。

Kunisada033_n  国貞は、虚無僧姿の美人を描いています。東海道を虚無僧姿で上るといえば、『仮名手本忠臣蔵』九段目の加古川本蔵あるいはその姿を借りる大星由良之助を思い出してしまいます。本蔵は塩冶判官の刃傷を止めた人物、由良之助は塩冶判官の家老、どちらも汐見坂の汐=塩と深く係わります。広重の「原」も同八段目を下敷きにするものでした。少し考え過ぎですか。

 美人を両人いずれかに見立てているという確信はありませんが、しかし、よく考えれば、編笠を小脇に抱え、素顔を晒した虚無僧というのも異例の姿と言わざるをえません。美人画ということもありますが、編笠を取ってまでも眺めたい程、美しい「白須賀 汐見阪」の風光という趣旨なのではないでしょうか。そうならば、再度、広重描く遠州灘のパノラマを見直してみようという気も起こってきます。

*掲載作品は、国立国会図書館蔵です。

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