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28.東海道五拾三次之内 袋井 出茶屋ノ圖 :袋井之圖

 境界の榜示杭が立つ榎の大木に吊された薬缶を囲んでの諧謔風景で、道中脇差しを差した飛脚は煙管を持ちながら、関札に止まる小鳥を眺め、空駕籠の陰で一人の人足は休み、もう一人は煙管に火を付けようとしています。火種を起こそうとして竈を突っつく女の火箸の先からは、煙が濛々と立ち上がり、その背後の遠くには田圃の畦を進む農夫と馬が呑気な雰囲気を醸し出しています。秋の取り入れが終わったゆったりとした世界です。

 このように広重が描いた「袋井」は、「掛川」と「見附」という大きな宿の間にある、休憩を専らとする宿で、副題の「出茶屋」も仮の簡易な施設を言います。土盛り、ムシロ、葦簀張(よしずばり)の屋根が典型です。休息、休憩をそのまま「袋井」作品の主題にしてしまった、一種、蕉風の世界を浮世絵とした作品です。

Kunisada028_n  それを背景とする国貞の作品も、宿場の西外れの棒鼻と棒(杖)を掛けつつ、関札のごとく凛と直立する(立てば芍薬?)美人の仕立てとなっています。縦の直線を重ねて強調する絵組みが特徴的です。秋葉山参詣の姿でしょうか。広重作品では、飛脚と小鳥とに心理的関係がありましたが、国貞がその小鳥を削ったのは、飛脚もしくは駕籠かきと美人との間に関連性を持たせようとしたと思われます。すなわち、飛脚と美人という組み合わせは『恋飛脚大和往来』(梅川・忠兵衛)を思い起こさせますし、美人の姿は駕籠かきのそれを想起させもします。

*掲載作品は、国立国会図書館蔵です。

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