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24.東海道五拾三次之内 嶋田 大井川駿岸(すんがん) :嶋田ノ圖

 副題にあるとおり、大井川を挟んで駿河側からの徒行による川越えの風景です。広重は、遠景を描く際の特徴として、大名行列を描き込むことが少なくないのですが、ここでもその一行を中心に渡河風景を構成しました。列の最後は、一般庶民で、最後尾には、巡礼の一人旅の男が見えています。作品自体は、視点を東岸に寄せて『東海道名所図会』を使用しました。したがって、富士山は見えていません。

Kunisada024_n  駿河国と遠江国の境を流れる大井川は、よく知られたように川の難所です。一見すると、その渡河風景を鳥瞰的に表現している作品と思われますが、その背後には、どんなドラマがあるのかは、国貞作品に目を向けると浮かび上がってきます。嶋田女郎衆という言葉がありますが、国貞は、恋文を読む美人をコラボさせました。この一人の美人の挿入によって、いろいろな事柄が想像できるようになります。真意は難しいのですが、「箱根八里は馬でも越すが越すに越されぬ大井川」と唄われた川の難所と逢瀬(恋)の難儀を重ね合わせての趣向を読むことができます。また、美人が振り向く先、川岸に松が描かれていますが、浄瑠璃『朝顔日記』ゆかりの松と考えれば、陽明学者熊沢蕃山をモデルにした駒沢次郎左衛門とその恋人朝顔との大井川川岸での悲しい別れの見立てと解けます。近景の松(待つ)が生きてきますね。なお、枕屏風には、「法橋光琳」の落款があります。

 いずれにせよ、渡河の一行の中に、恋する人がいないか丹念に探そうという気持ちが起こってきませんか。

*掲載作品は、国立国会図書館蔵です。

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