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17.東海道五拾三次之内 由井 薩埵嶺 :由井ノ圖

 海岸まで崖が迫り、その僅かの間を東海道が進む地形で、峠越えに富士を眺め、あるいは見返すと、古より「田子の浦の白妙の富士」と詠まれた景勝となります。典型的な「絵になる風景」ですが、富士山を描く作品においては、広重は北斎を意識せざるをえず、前出「箱根」と同様、切り立った崖を富士と対照させる手法を採りました。そこに広重らしい工夫も加えられていて、山腹の街道から手を翳して富士を眺める旅人と無頓着に歩く山人との対比が滑稽です。

Kunisada017_n  国貞は、既述したように、広重の不自然な構図などをそれとなく修正していることが多いのですが、「由井」でも、崖をやや削って街道を前に出して、旅人が富士を直接見ることができるようにしています。そのうえで、六部(ろくぶ)スタイルの美人を描いています。六部は六十六部の略で、六十六ヶ所の霊地に法華経を一部ずつ納めるために巡礼する僧のこと。、鼠木綿の着物に同色の手甲(てっこう)、脚絆(きゃはん)、甲掛(こうがけ)、股引(ももひき)をつけて、仏像を入れた厨子を背負い、鉦(かね)や鈴を鳴らして米銭を請い歩いて諸国を回りました。地蔵菩薩が祀ってあった「薩埵嶺」に掛けて、六部の美人を描いたものと思われます。

*掲載作品は、国立国会図書館蔵です。

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