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裏富士「身延川裏不二」

Hokusai41 たおやかな富士の姿が多い中、男性的な岩の固まりのような甲州の山並みと富士です。身延道を行き交う旅人達を描いていることから、裏富士シリーズの特徴である、街道(旅)と富士をテーマにした作品系列の一つです。

 身延川から沸き立つような雲、同様の山、そしてその山々に挟まれ、頂上を覗かせる富士を旅人達は見上げています。その旅人達と言えば、波立ち、泡立つ急流の川と手前の山の間の街道を歩いています。この両者の狭隘さが共通の姿勢となって、富士と旅人達を結びつけているのではないでしょうか。

 身延道の先にあるのは、身延山ではなくて、旅人が目にしている富士の頂上ではないのかとの錯覚を北斎は用いています。身延詣りを入り口として、視点を変えることによって、富士詣りを想起させる術です。作品の上半分が、蜃気楼のように見えます。いずれにしろ、単純な街道(道中)物ではないと考えます。

 また、身延への道と富士への道とが交錯する地点を描いたと考えれば、今日流の言葉で言えば、そこはパワースポットです。北斎解釈による名所絵と言うことも可能でしょう。身延山には日蓮宗の大本山久遠寺がありますが、それを背後に隠して、その身延山参詣と富士遙拝とを巧みに重ね合わせたところが、本作品の趣向ということができます。

*掲載の資料は、アダチ版画です。

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