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冨嶽三十六景「上総ノ海路」

Hokusai24 江戸に荷物を運ぶ木更津船です。船を横幅いっぱい描いた単純な構図のように見えます。しかしながら、帆を張る綱や帆布を見ると多くの三角形が組み合わされているのが判ります。背後の富士は、その中の一つの三角に捉えられています。

 富士を三角形に象徴させ、その三角形のある場所に富士の神霊を降臨させるのが、富嶽に共通する手法であるという立場から導き出されることは、この二艘の木更津船は富士世界と一体化しているということです。船の窓から人の顔が覗いていますが、富士の岩室にでもいるかのようで、富士神霊に守られているという安堵のメッセージがこの絵から伝えられます。

 遠くの富士も船の帆の一部のようであり、実際の富士と船上の三角とを対比させる絵組みであることは、言うまでもありません。『冨嶽三十六景』の解説において、庶民生活を富士が遠くから眺めているという言葉がしばしば使われますが、富士神霊は庶民の傍ら近くにいつもいるのです。浮世に富士世界があるという、より具体的な表現が『冨嶽三十六景』の主題なのではないでしょうか。

*掲載の資料は、アダチ版画です。

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