節分の豆まき(1)
左の部分図は、『北斎画譜』の中に描かれている節分の豆まき風景です。袴裃を着けた人に「鬼は外」と言われ、豆をぶつけられていますが、よく見ると鬼は赤鬼と青鬼に描き分けられています。赤と青の色の対比には、陰陽の対立が表現されているのではと思います。
さて、よく考えてみれば、たかが豆ごときをぶつけられたからといって、鬼はなぜ退散するのでしょうか?たぶん、初めは別の意味があったことが、風俗化され、あるいは様式化され、意味不明の行事になってしまったのではないでしょうか。
豆は、生ではなく、炒った大豆を使うのが普通ですが、ここのところが肝要な部分です。つまり、固い金性の、すなわち、金属のような豆を炒るのは、金属を鋳って溶かすことの象徴と考えられるのです。災いや戦いは金性に宿るという考え方からすれば、それを火で溶かしてしまえば原因がなくなるのです。したがって、金属を象徴する固い大豆を炒った段階で、すでに鬼退治は済んでいることになります。
ただし、もう一歩話を進め、このような行為の背景に、金属鋳造の作業工程があるとすれば、クズ(オニ)を外に捨てれば、内に黄金が溜る、すなわち、「福は内」となるわけです。さらに、上の浮世絵を見るとしめ縄が張ってあります。結界の外に追い払われた鬼は、鉱山開発を巡る利権から排除された人々と見ることもできましょう。
節分の豆まきは、旧年の災いを払い、新年を迎える行事ですが、先住した山の民の古い習俗がその起源なのかもしれなれませんよ。
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