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2007年2月 6日 (火)

山本勘助(2)

Kansuke4a  広重の保永堂版・東海道五十三次の各宿場町風景に、関連ある役者を配した浮世絵シリーズとして『役者見立東海道五十三駅』という作品があります。絵師:歌川(三代)豊国、彫師:横川竹次郎、摺師:大海屋久太郎、年代:嘉永五年(1852)となっています。

 その中の「御油」(ごゆ)が「山本勘助」に当てられていますが、これは、勘助が御油(三州牛窪)出身であるという伝説があるからです。そこで、右図のとおり、三桝大五郎が演ずる『本朝二十四孝』(ほんちょうにじゅっしこう)の勘助が描かれる運びとなります。

 この歌舞伎狂言では、「筍掘り」(たけのこほり)の場面が有名で、それは、冬の雪の中、母のため筍掘りをしていたところ、意外にも、足利(源氏)縁の白旗を見つけてしまったという話です。したがって、画中の勘助は、白い旗を肩にかけています。また、この時点では、勘助は隻眼ではありません。後に右目を自分で潰すことになりますが、その点については、『本朝二十四孝』を参照していただければと思います。

 じつは、この歌舞伎は、中国の親孝行物語で、孟宗竹(もうそうだけ)の語源となった「孟宗」の説話が元になっています。そのため、背後の旗差しが竹で描かれているというわけです。ちなみに、勘助の着物の柄には武田菱が染め抜かれていますが、孟宗の筍掘りを勘助の狂言に持ってきたのは、竹と武田(軍師)とを掛けたのでしょうか、それとも、母に対する孝を描きたかった偶然の結果に過ぎないのでしょうか?

 いずれにしろ、宿場の「留女」を描いた広重の風景画がここまで変容するとは、広重自身もたぶん想像していなかったことでしょう。

 

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