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浮世絵になる風景(2)

Miyage52Miyage51 左の作品は、歌川広重の『絵本江戸土産(第五編)』の「根岸の里」風景です。手前の川岸では、女性を含めた三人が野菜を洗っているようですし、子供と何かやり取りしています。向こう岸には、杖を突いた老人と従者が歩いています。

 広重が描いた、この「生活」景は、実は、とうに根岸にはないのかもしれませんが、私が信州にやってきた頃には、わが家の周りの現実の風景でした。家の隣を流れる堰には、蛍が飛び回り、玄関の靴の中には、よく沢蟹が潜んでいたものでした。今では、護岸工事は完成し、川は直線に一気に流れ、堰には蓋がされています。

 さすがに町でも、田舎の風景が美しい景観に値すると気が付き始めましたが、東京からわが町に生活の居を移したある高名な方は、その景観の中に、サルビアの花畑を作ってはどうかという提言をしています。もちろん、スキー場のゲレンデに限っての話ではありますが、それにすぐに飛びついてしまいそうな人達がわが町には決して少なくはありません。風景を風景として独立に考えては、良い結果に結びつかないと思うのですが…

 また、中間山間地の補助金事業の一環で、いままでほとんど栽培されてこなかった花や植物をいきなり道路脇に植えるのも、もう一つ考えが必要です。生活から離れた事業は、最初の思いや資金がなくなった途端に中断するものです。

 広重の描く風景は、「生活」景であるという指摘は、実に重要なのです。

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